『思考が早い』と言われる人は頭の中で公式のようなフレームワークを持ち、それらを利用することで素早く物事を捉えています。

ただ、頭で分かっていても実際のビジネスシーンでは、どの場面で活用すれば良いのか中々使いこなすのが難しいと思う人もいるのではないでしょうか。

そこで今回はマーケティング戦略を自在に使いこなしたいという人向けに、目的別にフレームワークとして『情報収集』『課題発見』『アイデア構想』『マーケティング』『実行』の5つに分けて使うタイミングを分かりやすくした形でご紹介致します。

 

目次

そもそもフレームワークとは?

フレームワークとは確率された枠組みのことを指し、ビジネスを行う上で、『どうやったら集客が上手く行くのか』『どうやったら売り上げが伸びるのか』などの悩みに対して、過去の人が考え抜き、成功のポイントを纏めたものです。

簡単に説明すると成功した事例から考え、上手く行くための考えるべきポイントなどをパターンに落とし込み誰でもできる状態にしたものです。

なのでフレームワークを使いこなすことにより、無駄なく成功までたどり着けるということです。

 

情報収集フレームワーク

情報収集のフレームワークでは、時代の流れや自社の状況を分析し、整理することで売り上げを伸ばすための施策を生み出しやすくするフレームワークを紹介致します。

 

イノベーター理論

イノベーター理論

引用:https://makefri.jp/strategy/6114/

概要:商品が市場に普及、浸透に関する理論

使用タイミング:自社の新商品、新技術の市場拡大や広告・プロモーションを強化するタイミングを分析する場合

 

イノベーター理論とは、新商品、技術、サービスが市場や社会に受け入れられる過程を理解する為の理論になります。自社商品の市場、社会の普及度に応じてマーケティング活動を対応させることで市場拡大を狙うことができます。

イノベーター理論では購入に関する行動や対応に応じて、市場や社会を5つの集団に分類します。

 

1.イノベーター

イノベーターは全体の約2.5%と言われ、新しい技術を好み、購入しその機能を試したいという特徴があります。実際に試して気に入れば潜在顧客にロコミなどで広めてくれます。

市場への製品のアプローチ初期段階では、イノベーターの注目を集めるマーケティングが必要になります。

 

2.アーリーアダプター

アーリーアダプターは全体の約13.5%で技術ではなく利点に興味をもち、直感と先見性で購入を判断し自らの課題を新技術で解決しようとします。

先行事例として紹介されることを好む為、次のアーリーマジョリティ向けのマーケティングツールが出来上がる連鎖が見込めます。

 

3.アーリーマジョリティ

3番目はアーリーマジョリティです。市場における大多数にあたり全体の3割以上を占め実用性を重視し売り込みがやや難しい集団になります。

他者事例を参考に購入する傾向にあり、リスクをとにかく避け確実に実用できることを求めます。

 

4.レイトマジョリティ

4番目はレイトマジョリティと呼ばれ、34%と市場の多数を占め今までの習慣を大切にする為、製品購入後でも新しい技術や方法を嫌います。

手厚いサポートを受けたい為、大きな企業から購入する傾向にあり、自分たちにとって役に立つものがあれば、それをずっと使い続ける傾向があります。

 

5. ラガード

5番目のラガーとはとにかく、新しい製品、技術に関心がありません。全体の16%に該当し、マーケティング活動をしても販売に繋がらない層になります。

製品が世の中に普及する過程では、『イノベーター』と『アーリーアダプタ』を足した16%を超えると一気に広がると言われている為、この16%を目標点となりマーケティングを組んでいくことになります。

 

経営資源5視点

経営資源5視点

引用:https://liskul.com/wm_framework8-6329

概要:『人、モノ、金、情報、時間』を使いお金を生み出すという考え

使用タイミング:自社や業界の資源分配状況の分析、見直し

 

経営資源5視点では『人、モノ、金、情報、時間』の5つを自社、他社、業界の経営資源を客観的に分析し、『資源を有効活用・配分』することにより、より効率の良い経営を行うことを目指します。

ただ項目を埋める為に行うのではなく、持っている資源の強みと弱みを把握し正しく再配分し、視覚化することにより差別化や弱みの補填などの施策を出しやすくする分析です。

資源の配分、分析を情報として視覚化して状況を理解しやすい状態にすることで、売り上げを伸ばす施策を作りやすくします。

 

課題発見フレームワーク

ここでは事業やビジネスの課題や問題を発見しやすくするフレームワークを紹介していきます。

売り上げが伸びない、新商品の受けが悪いなど事業には問題は避けて通れないものだと思いますので、このフレームワークを頭に入れ効率的に事業を運営してください。

 

3C分析

3C分析

引用:https://cyber-synapse.com/dictionary/en-all/3c-analysis.html

概要:『顧客、競合、自社』の3点から市場分析し課題を見つけ出す分析

使用タイミング:自社既存商品の問題発見

 

3C分析は自社の業界環境の分析に有効なフレームワークで、シンプルで分かりやすくのが特徴です。

3つの関係性を明確にすることにより市場、競合、自社を照らし合わせると、自社の強みと弱みなどを理解しやすくなります。

1.市場・顧客:市場や顧客のニーズの変化

2.競合相手:競合が市場の変化にどう対応しているか

3.自社:市場、競合を踏まえて自社の成功要因を見つける

上から順番に1-3のことを明確にすることで自社の強みを見つけやすくなります。市場・顧客の分析から入ることで競合、自社の強みを出しやすくします。

3つの中で『顧客』が最も重要な視点であり、顧客が感じている不安や感情を顧客視点に立ち分析し、ニーズとして何があるのかを出すことがポイントです。

 

4C分析

4C分析

引用:https://media.bizmake.jp/method/about-4c/

概要:『顧客視点』での商品やサービスを売れやすくする為の分析

使用タイミング:顧客視点から自社商品の課題を発見したい時

 

4C分析とは顧客価値(Customer value)、顧客にとっての経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、顧客とのコミュニケーション(Communication)の4つの頭文字を取った分析手法です。

特徴としては顧客視点から売上増加のために『顧客はどのような価値を得ることができるのか』、『顧客の負担はどれくらいなのか』、『顧客は商品を入手しやすいか』、『企業と顧客でコミュニケーションを取れているか』4つの観点から分析します。

 

1.顧客価値(Customer value)

顧客価値は購入後にお客さんは便利さ、楽しさ、優越感などを感じられるかを考えます。

売り手側が意図しないことに価値を感じる場合がありますので、お客さんが求める価値はどこにあるのかを分析しましょう。

 

2.顧客コスト(Cost)

顧客コストでは、お客さんにとって商品、サービスの妥当な価格を考えるだけでなく、その商品やサービスを購入する為の時間的、心理的な負担までも考えます。

 

3.顧客利便性(Convenience)

顧客利便性はお客さんが簡単に購入できるかを考えます。お店へのアクセスやオンラインストアの場合はWEBサイトの使いやすさや決算が簡単にできるかなどが挙げられます。

 

4.顧客との対話(Communication)

顧客との対話とは商品・サービスを継続的に利用してもらうための施策や利用してもらう為の仕組み作りなどを考える項目です。

 

SWOT分析

SWOT分析

引用:https://www.innovation.co.jp/urumo/swot/

概要:自社の内部環境、外部環境を強み、弱みに分け戦略を思考する分析法

使用タイミング: 戦略やビジネス機会を導き出し、課題を明確にしたい時

 

SWOT分析は戦略や計画を立てる為に、外部環境と内部環境を分析し『強み、弱み、機会、脅威』の4項目を軸としてチャンスや課題を明確にする方法です。

まず、自社の『強み、弱み、機会、脅威』の各項目を内容を分析書き出し、その後実際に戦略、戦術、計画に落とし込むために、4項目を掛け合わせていきます。

・機会×強み(積極攻勢):強みを活かし機会をモノにする戦略を練っていく

・脅威×強み(差別化):差別化がポイントになり、自社と同じ強みを持つ競合がいるので、そこでいかに違いを見せるかが重要なる

・機会×弱み(弱点強化):機会を利用し自社の弱みを補填できる方法を試行する

・脅威×弱み防衛):自社の弱みを理解し、脅威による影響をなるべく避ける

その後、分析結果を元に戦略、戦術、計画に落とし込み、今後事業をどのような方針に向けるかを決めていきます

 

なぜなぜ分析

五回のWHY手法

引用:https://service.plan-b.co.jp/blog/marketing/1122/

概要:問題に対して『何故』を問い思考を深める手法

使用タイミング:問題に施策を打っても解決しない場合

 

問題に対して必死に施策を打って解決を試みるも中々解決しない場合などはありませんか。

その場合は問題を起こしている要因が違ったり、より強い要因がある可能性があり、その真の要因を見つけることがこの手法です。

使い方としては問題から『なぜ』を問い出した要因に対して、1度の『なぜ』で止めず2度3度と繰り返し続けることによって深く掘り下げ真の要因を見つけ出します。

この方法はトヨタ自動車が用いていることから、トヨタ式と呼ばれることもあり、トヨタでは最低5回の『なぜ』を繰り返し思考を深めていきます。

この分析法を使用する場合は最低5回『なぜ』を問い続けて見ましょう。

 

アイデア構想フレームワーク

中々売り上げが伸びず、何か新しいアイデアが無いかを探したことはありませんか?

このフレームワークでは社会、政治、経済の観点から分析したアイデアのフレームワークや自社事業の少し違った観点からのアイデアが出やすいフレームワークなどを紹介しています。

アイデア構想で今まさに悩んでいるという人はこのフレームワークに沿ってやってみると新しい視点やアイデア、考え生まれてきます。

 

PEST分析

PEST分析の図解

引用:https://blog.kairosmarketing.net/marketing-strategy/pest-analysis-how-to/

概要:『政治、経済、社会、技術』の観点から事業を取り巻く外部環境を分析し機会、脅威を出し戦略構築に繋げる

使用タイミング:外部環境が現在、将来にどのように影響するか把握、予測する時

 

企業の業績は取り巻く環境に大きく左右する為、事業に影響を与える要因となる『政治、経済、社会、技術』の4つの外部環境が現在や将来にどのような影響をチャンスや脅威となるの予測するための方法です。分析手順は以下の通りです。

 

1.目的を明確にする

PEST分析は現状の競争環境の状況と今後起こりうる変化を把握し戦略を描く準備を整えることなので、『市場の変化を知り、チャンスを見出す』『市場の変化から、自社にとってのリスクを見出す』の2つに分けられます。これはSWOT分析の『機会』『脅威』と同義です。

 

2.4つの項目情報を集める

『政治、経済、社会、技術』の順番に情報を集め、市場の現状を調査しながら、将来起こりうる変化を考察します。将来を予測するため、仮説を立て検証しながら進めていきます。

 

PEST分析を最適化する図

引用:https://blog.kairosmarketing.net/marketing-strategy/pest-analysis-how-to/

 

3.チャンスと脅威に分ける

最後に分析した結果をチャンスと脅威に分けます。

 

PEST分析は競合企業も当然用いて分析していますので、現在の外部環境の理解は当然している企業の方が多いです。なので、市場調査の第1歩としてPEST分析を行い市場を調査することにぜひ用いてください。

 

MECE手法

MECE手法の例

引用:https://service.plan-b.co.jp/blog/marketing/1122/

概要:発想に漏れなく、ダブりがないよう全体を網羅する手法

使用タイミング:アイデアなどに見逃しがないか確認したい時

 

MECE手法とは『漏れなく』『重なりなく』を意味し、自分の考えやアイデアに重複が無いのかを確認することができます。

よく、ターゲットをより明確化するときなどに、より細かくターゲットを設定できないかなどで漏れが無いかの確認で用いられたりします。

ターゲット全体を見ることが出来ずアイデア自体も限定的なものになりがちなので、新しい視点やアイデアを生み出すためにもこの手法が効果的です。

 

マーケティングフレームワーク(STP分析)

STP分析の図解

引用:https://liskul.com/targeting-19642

概要:ターゲットを選定し効率よく利益をあげる手法

使用タイミング:売り上げを伸ばす事業を分析、立案したい時

 

STP分析とは効率的に市場に参入する為に、市場を細分化し区分けを行う上で自社のターゲットとポジションを明確にする分析方法です。

変化の多い市場の中でもどのようにマーケティングを組みビジネスを展開していくかという点でもこの分析が役に立ちます。

【セグメンテーション】

セグメンテーションとは市場を細分化して分けることを言います。細分化することで特定の同じ層の顧客に焦点を当てることができ、顧客の悩みや不安、感情を理解しやくすなります。細分化の観点のポイントは2つです。

 

・デモグラフィックデータ

年齢、性別、職業、家族構成、収入、学歴など社会的なデータや個人情報です。

・サイコグラフィックデータ

社会階層、ライフスタイル、性格傾向、価値観、購買動機などの心理的なデータです。アンケートなどで集めることができます。

 

この観点で細分化したグループをこの2つの視点から顧客は何を求めて商品、サービスを利用するのか分けていきましょう。

【ターゲティング】

細分化した後は、自社の事業はセグメンテーションで分けたグループの中でどの層を狙うのかを企業の成長性や市場規模などを考慮しつつ未開拓地を探し出すイメージで決めていきます。

もちろん、競合がいても大きな問題ではありませんが、最初から競合がいない方が成長性が見込めます。

ただ、市場の未開拓地はビジネス規模が小さい場合があるので、市場規模、成長性を考慮してターゲティングを行なってください。

【ポジショニング】

最後がポジショニングです、ターゲットとして設定した市場に対して、自社事業はどのような立ち位置やポジションでマーケティングを組んでいくかを検討していきます。

 

実行フレームワーク(PDCAサイクル)

PDCAサークルの解図

引用:https://www.e-sales.jp/eigyo-labo/pdcacycle-1071

概要:計画を実践しながら成長させるサークルを作る

使用タイミング: 計画をよりブラッシュアップしていきたいとき

 

PDCAサークルは事業や計画を『Plan→Do→Check→Action』の順に回しながら管理していく方法です。修正を繰り返しブラッシュアップを目指します。効率的にサークルを回すポイント5つです。

 

1.計画をできる限り具体的にする

計画が曖昧で分かりにくく計画が進まないということがあるので、より具体的にすぐに計画を見て動ける状態にしましょう。

 

2.目標を数値化し事実ベースで確認する

目標を曖昧にせず明確に数値で決め、現在目標からどの程度達成しているのかなどをすべて数値を元に確認を行なってください。

 

3.定期的に確認を行う

定期的に確認することで適切な改善策が出来るので、期間を決めてその期間ごとに確認作業をしましょう

 

4.何度もサークルを回し続ける

サークル自体は1度回して完了ではなく、目標を達成するために何度もサークルを回し続けることで効果的に計画がブラッシュアップしていきます。

 

5.無理の無い実行できる範囲でやる

一回のサークルの質にこだわり回せなくなっていまう場合がありサークルを回し続けることで質が上がってくるので、サークルを回す際は無理の無い範囲で行うようにしてください。

 

 

まとめ

如何だったでしょうか。今回は『情報収集』『課題発見』『アイディア構想』『マーケティング』『実行』の5つに分けて使いやすいという観点からマーケティング戦略を紹介してきました。

もちろん、他にも戦略のフレームワークはあるのですが、結果に繋がりやすいというものを厳選して紹介してきました。

もし自社の事業に合ったフレームワークがあればぜひ1つでも使って実践してみてください。